004 Recirculate

ホーチミンでは古く価値のあるものが取り壊され、新しい高層住宅や商業施設が次々と計画され、工事中の敷地が数多くみられる。

悲しいことに市政府は自分たちが今していることが、将来の観光業に多大な影響を与えることに何も気づいていない。

我々、建築家ができることは、開発の際にでた価値のあるものを再循環させ自分たちがつくる建築に用いる事で「今」を補完することである。

そんな実験的なプロジェクトがようやく竣工した。

 

THE MYST HOTEL 

http://www.themystdongkhoihotel.com/

 

NGUYEN HUU CANH 沿いの開発で取り壊された歴史のあるシップヤードの廃材を使ってこのホテルのロビーをデザインした。

日本のわびさびを美しいと思う心とサイゴンのもつ豊かな素材のパターンが融合した面白い建築をデザインできたことを誇らしく思う。

003 Old,Local, authentic

あるデザインコンペをまかされた時にHiepが言った言葉。

何で好んで古い素材を使うか。

money gameが支配する社会では、素材のサプライアーは質が悪く美しくないものしか我々に提供しない。

理由は単純で、それが一番儲かるからだ。

その言葉にはっとした。

サプライアーの事なんて気にした事なんてなかったからだ。

日本では探せば何かしら良いものはみつかるが、ホーチミンではそうはいかない。

 

魂のこもった暖かい素材

人の痕跡がみれるもの

 

自分なりにこの言葉を再解釈して今後につなげたい

002 Romantic and Simple

約二年程、a21studioに努めている。

Hiepとお互いの考えを共有するために主に平面図を介して意思疎通を図る。

こうしたやりとりも二年つづいている。

彼は私の図面を見た瞬間、どこがこの案の重要な見せ場なのか即座に理解し彼の考えを上手く埋め込みながら赤を入れる。

 

彼の特徴というか癖は、動線と中庭、光を非常にロマンティックに絡めることである。

そして、必ず形も無理なくその動線についてくる。

単純かつ明快かつロマンチック

なので、彼の図面を見た時にわくわくしてしまう。

一方でとても悔しい

こんな日が最近まで続いていたが、最近ようやく彼が赤をいれなくなった。

悔しがる素振りをみせ笑いながらGoodという彼をみて自分の成長を感じた。

 

 

 

001 Something Different

Hiepがデザインの話をする時によく使う言葉

「違う」ことであり続ける事を芯に彼はよくデザインを考えている。

そして、その信念の基につくられた空間、建築は、周りの建築家のものと比べて異色をはなっている。

しかしながら、実際その空間を体験すると、どこか懐かしく心をつかまれる。

「違う」と同時に何か地域の記憶を想起させるような「郷愁」を感じさせる。

到底彼には未だ追いつけない。